アンダラクリスタルは、鮮やかな色と透明感をもつガラス質の素材です。緑、青、紫、ピンク、金色など色の幅が広く、色ごとに名前を付けて流通しています。
一方で、この素材がどのようにできたのかについては、はっきりした答えが出ていません。火山活動でできた天然のガラスとする説がある一方、人の手を経てできたガラスとする見方も広く知られています。
この記事では、アンダラクリスタルについて分かっていることと、分かっていないことを分けて整理し、選ぶときに確かめたい点までをまとめます。
アンダラクリスタルとはどんな素材か
アンダラクリスタルは、結晶構造を持たない非晶質の素材です。割れ口は貝殻状に丸くえぐれ、表面はガラス特有のなめらかな光沢をもちます。硬さは一般的なガラスと同じくらいで、水晶よりは柔らかい部類です。
まず押さえておきたいのは、アンダラクリスタルが鉱物の名前ではないということです。ガーネットやトパーズが鉱物の種類の名前であるのに対し、アンダラクリスタルは鉱物の分類には含まれていません。流通のなかで生まれ、使われてきた呼び名です。
ガラスであること自体は、めずらしいことではありません。黒曜石は溶岩が急に冷えてできた天然のガラスですし、モルダバイトは隕石の衝突でできたとされる天然のガラスです。自然界もガラスをつくります。
見た目は、透明度の高い色ガラスの塊です。光にかざすと内部まで色が透け、その色の深さに惹かれて手に取る方が多い素材です。
発見の物語として伝えられていること
アンダラクリスタルは、1960年代にアメリカ・カリフォルニア州のシエラネバダ山脈のふもとで見つかったと伝えられています。見つけた女性の名にちなんで「レディーネリー」と呼ばれる色があるなど、発見にまつわる話は、色の名前にも残っています。
その後、古代文明レムリアの神殿に祀られていた、エジプトのピラミッドに置かれていた、といった物語も語られるようになりました。
ただし、こうした話を裏づける一次資料は確認されていません。発見の年や場所も、伝え手によって細部が変わります。物語として楽しむことと、事実として扱うことは、分けて考える必要があります。
当メディアでは、石の意味を科学的な効能ではなく伝承としてお伝えしています。詳しくは「石の効果についての考え方」をご覧ください。
成り立ちをめぐる見方|天然説と人工説
ここが、アンダラクリスタルを選ぶときに最も大切なところです。
アンダラクリスタルの成り立ちには、大きく二つの見方があります。
ひとつは、火山活動などの自然の条件が重なってできた天然のガラスだとする説です。流通の場では、この説明とともに扱われてきました。
もうひとつは、人の手を経てできたガラスだとする見方です。成分を調べると窓ガラスや瓶ガラスと同じ系統のガラスに近いとする報告や、金属の製錬などの工程で生じたガラスではないかとする意見があり、こちらの見方も広く知られています。
現在の鑑別では、「ガラス」であることは分かっても、それが天然か人工かを見分けることは難しいとされています。
人工であること自体は、悪いことではありません。水晶に金属を蒸着させたエンジェルオーラも、美しい素材として広く親しまれています(水晶とは|4月の誕生石の意味と、日本の水晶史をたどる)。
大切なのは、何を手にしているのかが、買う人にきちんと伝わっていることです。ガラスと天然石の見分け方については「天然石の本物と偽物の見分け方|処理石・染色・ガラスの基礎知識」にまとめています。
「モナトミック」という言葉について
アンダラクリスタルの説明には、「モナトミック元素を含む」「未知の物質でできている」といった言葉が添えられることがあります。
「モナトミック(単原子)」は、科学の用語としては、原子が一つずつ独立して存在している状態を指します。常温でこの状態をとるのは、ヘリウムやネオンといった一部の気体です。
アンダラクリスタルに特別な元素や未知の物質が含まれることを確かめた研究や、鑑別機関による確認は見当たりません。「モナトミック」と書かれていることを理由に、特別な素材だと判断することはできません。
選び方と扱いの注意点
選ぶときにまず確かめたいのは、売り手がこの素材を何だと説明しているかです。
ガラス質の素材であることを知ったうえで、色と質感に惹かれて選ぶのであれば、何の問題もありません。光を通したときの発色の美しさは、この素材ならではの魅力です。反対に、「天然であることが証明されている」「特別な元素を含む」と断言している場合は、その根拠を確かめてから選ぶことをおすすめします。
価格については、素材そのものの価値と、色や大きさの好みを分けて考えてください。同じような見た目のものが、さまざまな価格で流通しています。
扱いで注意したいのは、欠けやすさです。
水晶より柔らかく、ほかの石と擦れると傷がつきます。また結晶ではないため、強い衝撃を受けると貝殻状に割れます。割れた縁は刃物のように鋭くなることがあるので、欠けた破片の扱いには気をつけてください。
急な温度変化も苦手です。熱いお湯や、直射日光の当たる車内は避け、超音波洗浄機も使わないでください。柔らかい布で拭き、ほかの石と擦れないよう別にして保管します。基本のお手入れは「天然石の浄化方法|石を傷めないお手入れと保管の基本」をご覧ください。


