アンダラクリスタルとは|正体はガラス質、それでも選ばれる理由

アンダラクリスタル|色とりどりのガラス質の石

アンダラクリスタルは、鮮やかな色を持つガラス質の石として、ヒーリングの分野で高い人気を集めています。価格も決して安くはありません。

ところが、この石が何であるかを正面から説明した情報は多くありません。海外の分析機関が示してきた結果は、ソーダ石灰ガラス。つまり、人の手でつくられたガラスです。

この記事では、アンダラクリスタルの正体、発見の物語、「モナトミック」という言葉の実際、そして買うときに確認すべきことまでを、協会会長監修のもと解説します。

英名Andara Crystal
主な産出地アメリカ・カリフォルニア州シエラネバダ山麓 ほか
分類非晶質のガラス質素材(鉱物種ではありません)
モース硬度5.5〜6
石言葉変容・覚醒(伝承による)
目次

アンダラクリスタルとはどんな石か

アンダラクリスタルは、結晶構造を持たない非晶質の素材です。割れ口は貝殻状に丸くえぐれ、光沢はガラス特有のつるりとした質感になります。モース硬度は5.5から6ほどで、水晶より柔らかい部類です。

まず押さえておきたいのは、アンダラクリスタルが鉱物名ではないということです。ガーネットやトパーズが鉱物種の名前であるのに対し、アンダラクリスタルは国際的な鉱物のリストにも、宝石種の分類にも登録がありません。流通のなかで生まれ、流通のなかで使われてきた呼び名です。

ガラスであること自体は、めずらしいことではありません。黒曜石は溶岩が急冷してできた天然のガラスですし、モルダバイトは隕石衝突の熱で生じたテクタイトという天然ガラスです。自然界はガラスをつくります。

ただし、アンダラクリスタルの分析結果は、それらの天然ガラスとは一致しません。次章で詳しく触れます。

見た目は、色ガラスの塊そのものです。緑、青、紫、ピンク、金色、無色。透明度が高く、光にかざすと内部まで色が透けます。美しい素材であることは間違いありません。

発見の物語|シエラネバダとレムリア伝説

アンダラクリスタルの物語は、1967年のカリフォルニアから始まるとされています。

シエラネバダ山脈の麓に暮らしていたネリー・モース・トンプソンという女性が、自分の土地で青緑色をした塊を見つけた。彼女はチョクトー族の伝統を受け継ぐ人物であったと伝えられ、その石に癒やしの力を認めた。のちに愛好家のあいだで「レディ・ネリー」と呼ばれるようになった人です。

この土地から見つかった色ガラスの塊が、アンダラクリスタルと呼ばれるものの出発点になりました。

物語はここから広がります。レムリアと呼ばれる古代文明の神殿に祀られていたもの、エジプトのピラミッドに置かれていたもの、地球上のアンダラは見えない糸でつながっている。そうした語りが重ねられ、1980年代の地震を機に「地球が石を回収した」と説明されることもあります。

ただし、これらを裏づける一次資料は確認されていません。発見の年代も、土地の所在も、伝え手によって細部が変わります。物語として楽しむことと、事実として扱うことは、分けて考える必要があります。

当メディアでは、こうした意味を科学的な効能ではなく伝承としてお伝えしています。詳しくは「石の効果についての考え方」をご覧ください。

分析が示すもの|ソーダ石灰ガラスという結果

ここが、アンダラクリスタルを買うときに最も重要な部分です。

海外で行われてきた成分分析や分光分析は、アンダラクリスタルをソーダ石灰ガラスとして一貫して同定してきました。ケイ酸を主成分とし、そこに酸化ナトリウムと酸化カルシウムが加わったガラスです。窓ガラスや瓶ガラスと同じ系統にあたります。

判断の根拠になるのは、内部に散る気泡と、むらのない均一な発色です。

天然ガラスにも気泡は入りますが、天然の色は成分のゆらぎを反映してむらを生みます。一方、着色剤を溶かし込んでつくられたガラスは、塊の隅々まで同じ色になります。アンダラクリスタルの鮮やかな緑や青は、この後者の特徴を示しています。

流通しているものの多くは、スラグガラスやカレットと整合的だと指摘されています。スラグガラスは金属の製錬工程で生じる副産物、カレットは再生用に砕かれたガラスです。どちらも産業の現場から出る素材で、色の幅が広く、装飾用途に転用されてきた歴史があります。

処理や人工であること自体は、悪ではありません。当メディアは一貫してこの立場をとっています。水晶に金属を蒸着させたエンジェルオーラも、美しい素材として広く親しまれています(水晶とは|4月の誕生石の意味と、日本の水晶史をたどる)。

問題になるのは、それが説明されないまま、天然の希少鉱物として高額で取引されることです。素材の実際と価格の根拠が結びついていない状態は、買う側にとって不利益にしかなりません。

ガラスと天然石の見分け方については天然石の本物と偽物の見分け方|処理石・染色・ガラスの基礎知識にまとめています。

「モナトミック」という言葉について

アンダラクリスタルの説明には、しばしば「モナトミック」という言葉が添えられます。70種類以上のモナトミック元素を含む、エーテリウムという未知の物質でできている、といった説明です。

この言葉は、科学の用語としては別の意味を持ちます。

モナトミック(単原子)とは、原子が単独で安定して存在している状態を指します。常温でこの状態をとるのは、ヘリウムやネオン、キセノンといった希ガスです。金や白金などの金属元素が、常温常圧で単原子のまま安定して存在することはありません。

また、エーテリウムやモナトミック元素の存在を確かめた査読論文はなく、鑑別機関による確認も報告されていません。

言葉が悪いのではなく、言葉が使われる場所が違うということです。「モナトミック」と表示されているから特別な素材である、という判断はできません。

選び方と扱いの注意点

選ぶときにまず確認したいのは、売り手がこの素材を何だと説明しているかです。

ガラス質の素材であることを承知したうえで、色と質感に惹かれて選ぶのであれば、何の問題もありません。実際、光を通したときの発色の美しさは、天然石にはない魅力があります。産地や成分について曖昧な説明しかできない売り手、あるいは天然の希少鉱物だと断言する売り手は、避けたほうが無難です。

価格については、素材そのものの価値と、色や形の希少性を分けて考えてください。同じ見た目のものが大きく異なる価格で流通しているのが、この石の現状です。

扱いで注意すべきは、欠けやすさです。

モース硬度5.5から6は、水晶よりも柔らかく、砂ぼこりに含まれる石英の粒でも傷がつきます。そして結晶ではなく非晶質であるため、衝撃を受けると貝殻状に割れます。割れた縁は刃物のように鋭くなるので、破損した破片の扱いには気をつけてください。

急激な温度変化も苦手です。熱い湯や直射日光下の車内は避け、超音波洗浄機も使わないでください。柔らかい布で拭き、他の石と擦れないよう単独で保管する。基本のお手入れは天然石の浄化方法|石を傷めないお手入れと保管の基本をご覧ください。

美しい素材であることと、天然の鉱物であることは、別の話です。

アンダラクリスタルは前者を確かに満たしています。何を手にしているのかを知ったうえで選ぶなら、その色は変わらずそこにあります。石との付き合いは、正確に知ることから始まると私たちは考えています。

SHOP

アンダラクリスタルをEARTHで見る

EARTHでは、世界各国の石を取り扱っています。

商品を見る →

SHOP アンダラクリスタルをEARTHで見る EARTHでは、世界各国の石を取り扱っています。 商品を見る →

この記事を書いた人

長年の経験から培った豊富な知識を活かし、お客様お一人おひとりに寄り添う石選びをサポートしています。
ありがたいことに、お客様からは「どんなお店よりも応対が丁寧で安心できる」という温かいお言葉をいただくことも多く、それを励みに日々、丁寧な接客を心がけております。こちらのブログでは、天然石の奥深い魅力や、日常への取り入れ方を分かりやすく発信していきます。

目次