ルビーとは|7月の誕生石、赤いサファイアという事実

7月の誕生石ルビー|世界四大宝石のひとつ

ルビー(紅玉)は、7月の誕生石として知られる赤い宝石です。ダイヤモンド、サファイア、エメラルドと並ぶ四大宝石のひとつであり、古くから王侯の石とされてきました。ただしこの石には、購入する側が知っておくべき事情があります。市場に出回るルビーの多くには、何らかの処理が施されているのです。この記事では、ルビーという石の正体、産地ごとの違い、処理の実際、そして選び方までを、協会会長監修のもと解説します。

名称ルビー(紅玉)
英名Ruby
主な産地ミャンマー、モザンビーク、タイ、スリランカ ほか
モース硬度9
誕生石7月
石言葉情熱・勇気・仁愛(伝承による)
目次

ルビーとはどんな石か

ルビーとサファイアが同じ鉱物であることは、意外と知られていません。

どちらもコランダム(鋼玉)という鉱物で、化学組成は酸化アルミニウム。純粋なコランダムは無色です。そこに微量のクロムが入ると赤くなり、鉄とチタンが入ると青くなる。赤いコランダムをルビー、それ以外の色のコランダムをすべてサファイアと呼ぶというのが、宝石業界の取り決めです。

つまり黄色いサファイア、ピンクのサファイア、緑のサファイアは存在しますが、赤いサファイアは存在しません。赤くなった時点でルビーになるからです。**ひとつの鉱物が、色によって二つの名前を持つ。**宝石の名づけがいかに人間の側の都合でできているかが、よく表れた例です。

なおピンクと赤の境界には明確な基準がなく、同じ石が国や鑑別機関によってルビーともピンクサファイアとも呼ばれることがあります。価格が大きく変わる部分なので、購入時には鑑別書の記載を確認する意味があります。

モース硬度は9。天然の鉱物ではダイヤモンドに次ぐ硬さです。日常のなかで傷がつくことはほとんどなく、宝飾品としては極めて扱いやすい石だといえます。硬度10のダイヤモンドとの間には実際にはかなりの開きがありますが、それでも他の宝石を大きく上回ります。

和名の紅玉は、赤い玉という素直な名づけです。英名のルビーもラテン語で赤を意味する語に由来します。

7月の誕生石としてのルビーと伝承

ルビーは7月の誕生石として、世界共通で定められています。日本の一覧では7月はルビーとスフェーンの2石で、2021年の改訂でスフェーンが加わりました。

石言葉は「情熱」「勇気」「仁愛」など。赤という色が持つ強さが、そのまま言葉になっています。

古い伝承のなかで、ルビーは繰り返し王の石として語られてきました。サンスクリット語ではラトナラージ、宝石の王を意味する語で呼ばれたと伝えられています。ミャンマーでは戦士が肌に埋め込んで身を守ったという話も残ります。中世ヨーロッパでは、赤い石が生命力や勝利と結びつけて語られました。

ただしガーネットの記事でも触れたとおり、**当時の記録で「ルビー」と呼ばれた石が、実際にはガーネットやスピネルであった例は少なくありません。**有名なのが英国王室の「ブラックプリンスのルビー」で、これは現在ではスピネルであることが判明しています。宝石の科学的な同定ができるようになったのは近代以降のことで、それまで赤い石はまとめて赤い石として扱われていました。

伝承を読むときは、この事情を頭に置いておくと解像度が上がります。「ルビーの伝説」の多くは、赤い石一般の伝説だと考えたほうが実態に近いでしょう。当メディアでは、こうした意味を科学的な効能ではなく伝承としてお伝えしています。詳しくは「石の効果についての考え方」をご覧ください。

産地と色|どの赤を選ぶか

ルビーの評価は、色でほぼ決まります。

もっとも高く評価されてきたのが、ミャンマー産の赤です。わずかに青みを含んだ濃い赤で、「ピジョンブラッド(鳩の血)」と呼ばれる色が最高級とされます。ミャンマー北部のモゴック地方が古くからの名産地で、この地の石は特別扱いされてきました。ただしピジョンブラッドという呼称に統一された定義はなく、鑑別機関によって基準が異なります。呼称だけで判断せず、実物の色を見ることが大切です。

近年、市場を大きく変えたのがモザンビーク産です。2009年頃から本格的に産出が始まり、現在では世界の供給量の相当部分を占めています。良質なものはミャンマー産に迫る色を持ち、価格帯も幅広く、現実的な選択肢として定着しました。

タイ産はやや暗く、褐色を帯びた赤が特徴です。かつては世界のルビー加工の中心地でもありました。スリランカ産は明るくピンクを帯びた色が多く、軽やかな印象の石が採れます。

産地によって色の性格が変わるという点は、アメジストと同じ構図です。ただしルビーの場合、産地が価格に与える影響が桁違いに大きいという違いがあります。同じ品質に見えても、産地の記載ひとつで価格が変わります。だからこそ、産地を明示できる売り手を選ぶことに意味があります。

選び方と処理の見分け方

ここがルビーを買うときの最重要事項です。市場に流通するルビーの大半には、何らかの処理が施されています。

もっとも一般的なのが加熱処理です。原石を高温で加熱することで、色を鮮やかにし、内包物を溶かして透明度を上げます。これは何世紀も前から行われてきた手法で、宝石業界では一般に許容される処理とされています。ただし非加熱のルビーは希少で、価格が大きく異なります。鑑別書に「非加熱」の記載があるかどうかが、価格を左右する分かれ目です。

より注意が必要なのが、鉛ガラス充填です。ひび割れの多い低品質な原石に、鉛を含むガラスを高温で流し込んで隙間を埋める処理で、外見上は透明度の高いルビーに見えます。しかしこの処理を施した石は、日常的な使用で劣化する可能性があります。酸性の洗剤や超音波洗浄、宝飾店での修理時の加熱などで、充填したガラスが白濁したり流れ出したりすることがあるのです。

鉛ガラス充填ルビーは「コンポジットルビー」などと表記されることがあります。安価な大粒のルビーには、この処理が施されている可能性を考えたほうがよいでしょう。処理そのものが悪いのではなく、処理の事実を知らずに買うことが問題です。

合成ルビーも広く流通しています。19世紀末には工業的な合成法が確立しており、成分も結晶構造も天然と同一です。安価で美しく、用途によっては合理的な選択ですが、天然として売られていれば話は別になります。

確認すべきことをまとめると、次のようになります。加熱処理の有無、鉛ガラス充填の有無、天然か合成か、そして産地。高額なものを購入するときは、信頼できる鑑別機関の鑑別書を求めてください。処理の全般については天然石の本物と偽物の見分け方|処理石・染色・ガラスの基礎知識にまとめています。

扱いそのものは容易です。硬度9で傷に強く、日常使いに向いています。ただし鉛ガラス充填のものは例外で、超音波洗浄機と酸性の洗剤を避け、柔らかい布で拭く程度に留めてください。自分の持つルビーがどの種類かを知っておくことが、そのまま扱い方の判断につながります。

赤い石は数多くありますが、硬度9の赤はルビーだけです。長く持つことを前提に選べる石だという点は、この宝石の大きな強みだと思います。

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この記事を書いた人

長年の経験から培った豊富な知識を活かし、お客様お一人おひとりに寄り添う石選びをサポートしています。
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