オパールとは|10月の誕生石、水を含んだ石が放つ虹

10月の誕生石オパール|虹色に輝く石

オパール(蛋白石)は、10月の誕生石として知られる石です。角度を変えると赤や緑や青の光が現れる遊色効果は、他の宝石では見られない現象です。そしてこの石には、宝石としては珍しい性質があります。内部に水を含んでいるのです。この記事では、虹色が生まれる仕組み、種類ごとの違い、そして水を含む石ならではの扱い方までを、協会会長監修のもと解説します。

名称オパール(蛋白石)
英名Opal
主な産地オーストラリア、エチオピア、メキシコ、ブラジル ほか
モース硬度5〜6.5
誕生石10月
石言葉希望・幸運・純真(伝承による)
目次

オパールとはどんな石か

オパールは、多くの宝石と成り立ちが大きく異なります。

ルビーもアメジストもガーネットも、結晶した鉱物です。原子が規則正しく並び、外形にもその規則性が現れます。ところがオパールは結晶ではありません。二酸化ケイ素の微細な球体が集まってできた、非晶質の固体です。鉱物学では「準鉱物」「鉱物様物質」として扱われることもあります。

そして、内部に水を含んでいます。含水率は種類によって幅がありますが、数パーセントから二十パーセント近くに達するものもあります。石でありながら水を抱えている。この性質が、オパールの美しさと弱さの両方を生んでいます。

遊色効果の仕組みも、この構造から説明できます。

オパールを構成する二酸化ケイ素の球体は、直径が光の波長に近い大きさです。この球体が規則正しく並ぶと、隙間を通る光が回折や干渉を起こし、特定の色だけが強められて目に届きます。球の大きさが変われば現れる色も変わる。私たちが見ている虹色は、石の色ではなく、球の並び方が作る現象です。

ムーンストーンのシラーが層構造による干渉だったのに対し、オパールの遊色は球体の配列による回折です。仕組みは違いますが、どちらも「色がついているのではなく、光がそこにいる」という点は共通しています。

球体の並びが不規則なオパールには、遊色が現れません。こうしたものはコモンオパールと呼ばれ、遊色を持つプレシャスオパールとは区別されます。

モース硬度は5から6.5と、宝石のなかでは柔らかい部類です。

10月の誕生石としてのオパールと伝承

10月の誕生石は、オパールとトルマリンの2石です。この顔ぶれは日本の一覧でも海外の一覧でも共通しています。

石言葉は「希望」「幸運」「純真」など。

古い伝承では、あらゆる宝石の徳を併せ持つ石として語られてきました。ローマの博物学者プリニウスは、オパールのなかにルビーの炎、エメラルドの緑、サファイアの青が見えると記したと伝えられています。実際に一つの石のなかで色が移り変わるのですから、そう見えたのも無理はありません。

ところが19世紀に入ると、オパールは不吉な石だという評判が広まった時期があります。きっかけは1829年に出版されたウォルター・スコットの小説だとされ、作中でオパールを身につけた登場人物に不幸が訪れる描写があったことから、ヨーロッパで一時的にオパールが敬遠されたと伝えられています。一冊の小説が宝石の市場を冷やしたという逸話は、石にまつわる評判がいかに人の語りに左右されるかを示しています。

この評判を覆したのが、オーストラリアでの大規模な鉱床の発見でした。19世紀後半以降、質の高いオパールが安定して供給されるようになり、宝石としての地位が確立しました。当メディアでは、こうした意味を科学的な効能ではなく伝承としてお伝えしています。詳しくは「石の効果についての考え方」をご覧ください。

種類と産地|どの虹を選ぶか

オパールにはいくつかのタイプがあり、地の色によって呼び分けられます。

ホワイトオパールは乳白色の地に遊色が浮かぶもので、オーストラリアのクーバーピディなどから産出します。もっとも一般的に流通しているタイプです。

ブラックオパールは暗い地に遊色が現れるもので、オパールのなかで最も高く評価されます。暗い背景があることで遊色が際立ち、色が濃く鮮やかに見えます。オーストラリアのライトニングリッジが名産地として知られてきました。

ボルダーオパールは、母岩である鉄鉱石の層とともに切り出したものです。褐色の地に鮮やかな遊色が走り、自然の形をそのまま生かした仕上がりになります。

ファイアオパールはメキシコを主産地とし、オレンジから赤の地色を持ちます。遊色があるものとないものがあり、地色そのものの美しさで選ばれることも多いタイプです。

近年、市場を変えたのがエチオピア産です。2008年頃から本格的な産出が始まり、鮮やかな遊色を持つ石が比較的手の届く価格で流通するようになりました。ただしエチオピア産の多くは水を吸いやすい性質を持ち、水に浸けると一時的に透明度が変わることがあります。この性質はハイドロフェンと呼ばれ、扱いには特に注意が必要です。

日本でも福島県などにオパールの産地が知られています。宝石質のものは限られますが、鉱物愛好家に親しまれています。

選び方と扱いの注意点

選ぶときに見るのは、遊色の出方です。

石全体に出るか一部か。正面から見えるか、傾けないと現れないか。どんな色が出るか。赤が出るものは希少で高く評価されます。青や緑は比較的よく見られる色です。実物を手に取り、角度を変えながら確認するしかありません。

処理についても確認が必要です。オパールには、樹脂を含浸させたもの、糖と酸を使って地を黒くしたもの、薄いオパールを他の石と貼り合わせたダブレット・トリプレットがあります。貼り合わせのものは側面を見ると層が確認できることがあります。処理の事実を開示している売り手から購入することが基本です。天然石の処理全般については天然石の本物と偽物の見分け方|処理石・染色・ガラスの基礎知識にまとめています。

そして扱い方です。オパールは、宝石のなかでもとりわけ配慮を要します。

最大の注意点が乾燥です。内部に水を含む石なので、極端に乾いた環境に長く置くと水分が失われ、細かいひび割れが生じることがあります。これをクレージングといいます。一度生じたひびは元に戻りません。直射日光の当たる場所、暖房の風が当たる場所、乾燥剤と同じ容器での保管は避けてください。

急激な温度変化も苦手です。熱湯や冷水にさらすこと、超音波洗浄機の使用は避けてください。硬度も高くないため、他の石と一緒に保管すれば傷がつきます。

汗や化粧品が付いたら、柔らかい布で軽く拭き取ってください。基本のお手入れは天然石の浄化方法|石を傷めないお手入れと保管の基本をご覧ください。

弱く、乾きに敏感で、それでいて他のどの石にもない虹を持つ。手をかけることを前提に選ぶ石です。丁寧に扱えば、遊色は長く保たれます。

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この記事を書いた人

長年の経験から培った豊富な知識を活かし、お客様お一人おひとりに寄り添う石選びをサポートしています。
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