日本には、石とともに祀られてきた聖地があります。翡翠の姫神・奴奈川姫を祀る糸魚川。黒曜石の山を負う諏訪。勾玉の玉造を担った出雲。これらの土地では、神話と石の歴史が分かちがたく結びついていて、石を知ることが、そのままその土地の神様を知ることにつながります。このシリーズでは、日本の聖地と石の物語を、一組ずつ丁寧にたどっていきます。
聖地と石の記事一覧
なぜ聖地には石があるのか
古代の日本では、石は単なる材料ではありませんでした。硬く、朽ちず、磨けば光る石は、命を超えて続くものの象徴であり、神様の依り代(よりしろ)でもありました。今も神社に磐座(いわくら)や御神石が祀られているのは、社殿が建てられるより前、石そのものが祈りの対象だった時代の記憶です。
そして石の産地には、石を採り、磨き、運んだ人々の暮らしがあり、その営みはやがて神話として語り継がれました。糸魚川の翡翠が奴奈川姫の物語になり、諏訪の黒曜石が神の山の恵みとして扱われたように、日本の神話の少なくない部分は、石とともに生まれています。聖地を石から読み直すと、教科書には載っていない日本の姿が見えてくる。それがこのシリーズの視点です。
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